SECTION 01 / 当時の予測

そもそも、本当に「プログラマーはいらなくなる」と言われていた?

実は調べてみると、少し意外でした。

当時のニュースだけを見ると、「AIでプログラマーが消える」という予測が大量にあったように感じます。

でも本人の発言や原文まで遡ると、本当に「職業そのものがなくなる」と言っていた人は、それほど多くありませんでした。

強い「職業消滅」予測 STRONG PREDICTION

Emad Mostaque

「5年以内に人間のプログラマーはいなくなる」

期限:約2028年

出典:Decrypt(当時報道)↗本人の安定した一次資料ではなく、当時の報道として扱います。

AIと協働する予測 AI COLLABORATION

Jensen Huang

自然言語で開発する。
誰もがプログラマーに。

NVIDIA公式資料 ↗
2023年頃の『AIでプログラマーが不要になる』という予想と、2026年現在の『職業は残る一方、コードを書く仕事の一部がAIへ移っている』という現実を比較した図
2023年ごろの予想AIがコードを書けるようになる

プログラマーはいらなくなる?

↓
2026年の現実プログラマーは消えていない

コードを書く仕事の一部はAIへ。

「職業が消える」より
「仕事の中身が変わる」

強い「職業消滅」予測は一部で、多かったのは「コードを書く仕事が変わる」という予測でした。

SECTION 02 / 雇用

2026年、プログラマーは消えた?

では、実際の雇用を見てみます。

データから分かる答え

2026年、プログラマーは消えていない。

もちろん、将来予測なので「絶対に安心」という意味ではありません。

AIの進化や景気によって状況が変わる可能性はあります。

ただ少なくとも、2026年現在のデータから「プログラマーという職業が消滅へ向かっている」とは言いにくそうです。

SECTION 03 / 仕事の変化

ただし、「コードを書く仕事」はかなり変わった

職業は残っています。

でも、仕事の中身を見ると3年前とはかなり違います。

2022年ごろ人間がコードを書く↓AIが続きを提案
→
2026年人間が目的を伝える↓AIが複数の作業を進める

AIが作業を進める流れ AGENTIC CODING PROCESS

  1. 01指示する人間が目的や修正内容を伝える
  2. 02ファイルを探す必要なコードやファイルを探す
  3. 03修正するコードを書いたり変更したりする
  4. 04実行する必要なコマンドや処理を実行する
  5. 05テストする修正結果が正しく動くか確認する
  6. 06エラーなら修正問題があれば再度修正する
Googleの社内コード約50%コーディングAIが生成2025年第4四半期 決算説明会出典:Alphabet ↗

少なくともGoogleという先進的な企業では、AIがコードを書くことが既にかなり現実化しています。

50%のコード生成 ≠ 50%の開発者が不要

役割分担をひと目で比較 ROLE SHIFT

AIと人間の役割分担は、こう変わった

AIに任せやすくなったこと

  • コードのたたき台
  • 修正案
  • 単純な実装
  • テスト
  • 繰り返し作業

人間がまだ重要なこと

  • 何を作るか決める
  • 設計する
  • AIへ指示する
  • 出力を確認する
  • 品質・安全性を判断する

AIが作業を担う範囲は広がりました。それでも、目的・確認・最終判断は人間の役割です。

SECTION 04 / 若手への影響

若手プログラマーの仕事は減った?

2026年Q1のソフトウェア開発求人、誰向けが多い?出典:Indeed Hiring Lab ↗
経験者向け求人69.3%
未経験・初級者向け求人4.5%

求人の入口は、経験者に大きく偏っています。

同じ0〜100%尺度で示した求人の構成比です。AIによる置き換え率ではありません。

別の7月8日分析では、ソフトウェア開発求人の増加分の71%が経験者向けでした。出典:Indeed Hiring Lab ↗

AIの影響を受けやすい職種では、若手の雇用が他より伸びにくかった。

22〜25歳19%の相対的な遅れ
経験者同じ規模の差は
見られず

ADP給与データ / 2026年6月時点 / 2026年8月12日改訂版。19%は、AIへの露出が低い職種の同年代と同じペースで推移した場合と比べた相対差です。

※「若者の雇用が19%減った」「AIが19%奪った」という意味ではありません。

若手向けの入口は狭い。ただし、これだけでAIが原因とは言えない。

景気、採用調整、リモートワークなど、ほかの要因もあります。

SECTION 05 / 生産性

AIを使うと、本当に仕事は速くなる?

3つの研究結果を比べる

研究 03 / METR19%作業時間が増加 ↓

熟練したオープンソース開発者16人
246件の実作業

出典:METR ↗

AIを使えば、必ず速くなるわけではない。

効果は、仕事内容、経験、コードの複雑さ、品質要求によって変わります。

特に既存の大規模システムでは、AIの出力を確認・修正する時間が短縮分を打ち消すことがあります。

SECTION 06 / 雇用への影響

じゃあ、必要なプログラマーの人数は減った?

同時に起きたこと ≠ 原因 CORRELATION ≠ CAUSATION同じ時期に起きたことと、原因であることは別。

求人は減っています。

AIがコードを書く量も増えています。

それなら「企業が必要とするプログラマーも減ったのでは?」と考えたくなります。

しかし、同じ時期に起きたことと、原因であることは別です。

米国連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board)が約105万社・732万件超の観測を分析した研究では、AI導入後に企業の求人が減ったという明確な証拠は確認されませんでした。

Indeedも、Tech求人の減少はChatGPT公開前から始まっていたとしています。

将来的にAIによって必要人数が減る可能性はあります。

逆に、開発コストが下がることで、これまで作れなかったサービスが増え、開発者の需要が増える可能性もあります。

判定まだ分からない UNKNOWN

AIだけによる純粋な雇用減は、まだ確認できない。

SECTION 07 / 日本

日本ではどうなの?

日本の現在地

編集部による要約 EDITORIAL SUMMARYこの2つの数字が示す傾向:人材不足側複数のデータを初心者向けに要約した編集表現であり、統計値そのものではありません。

現在の日本は「AIでプログラマーが余っている」より、
「不足する人材をAIで補う」に近い。

ただし、定型実装や低付加価値の作業が今後も同じ需要を保つ保証はありません。

SECTION 08 / 答え合わせ

結局、3年前の予測は当たった?

2026年の答え合わせ REALITY CHECK

  1. 01
    プログラマーが消える現時点では未実現
    NOT YET
  2. 02
    AIがコードを書く一部ではかなり現実化
    PARTIAL → REALIZED
  3. 03
    若手から影響影響と整合するデータはあるが、AIだけが原因とは断定できない
    PARTIAL
  4. 04
    生産性が劇的に上がる仕事内容・経験・環境によって変わる
    DEPENDS
  5. 05
    必要人数が減るAIだけによる純雇用減は確認できない
    UNKNOWN
  6. 06
    仕事内容が変わる少なくとも先進的な現場では明確に進行
    REALIZED
消え始めているのは、
「プログラマー」という職業ではない。
人間が最初から最後まで、一人ですべてのコードを書くという仕事の形なのかもしれない。

あなたの場合は?

じゃあ、私たちはどうすればいい?

TYPE 01

これからプログラミングを始めたい

「AIがあるから勉強しても無駄」と考える必要はなさそう。

「AIがあるから、今からプログラミングを勉強しても無駄」
と考える必要はなさそうです。

ただ、コードを全部暗記することだけが強みになるとは限りません。

AIを使いながら、

  • なぜこのコードになるのか。
  • AIの答えは正しいのか。
  • どう直せばいいのか。

を理解する力も重要になりそうです。

TYPE 02

すでにプログラミングをしている

自分の仕事のどこならAIに任せられるかを見る。

AIを避けるより、
「自分の仕事のどこならAIに任せられるか」
を考える方が現実的です。

ただし、AIを使えば必ず速くなるとは限りません。

自分の仕事内容との相性を見る必要があります。

TYPE 03

プログラミングをしたことがない

「作れない」と思っていた人にも、新しい入口ができた。

実は、個人的にはここが一番面白いと思っています。

これまでなら、
「プログラミングできないから無理」
で終わっていた人でも、AIを使うことで簡単なWebサイトやツールなら作れる可能性が出てきました。

私自身、プログラミングの知識はほとんどありません。

それでもChatGPTやCodexを使いながら、Webサービスを公開するところまではできました。

AI Market Labで実際に作ったもの

プログラミング経験のほとんどないTamoが、実際に作りました。

PROJECT 001

AIRPORT MIDNIGHT

深夜・早朝の空港で「朝までどうする?」を判断するWebサービス。

実験を見る →
雨上がりの深夜、空港ターミナルの窓越しに駐機中の航空機を見るモノクロ写真

SUMMARY

まとめ

2026年現在、プログラマーはいなくなっていません。

ただ、仕事の中身はかなり変わり始めています。

AIがコードを書く量は増えました。

一方で、何を作るのかを決めること、AIの出力が正しいかを確認すること、問題が起きたときに判断すること。

こうした部分では、まだ人間が大きな役割を持っています。

だから今のところ、
「AI vs プログラマー」
というより、
「AIと人間がどう役割分担するか」
の話になってきているのだと思います。

RESEARCH METHOD

調査について

この記事では、2022年11月〜2024年12月頃に語られた予測と、2026年8月12日までに確認できたデータを比較しています。

情報源は、本人発言、企業公式資料、政府統計、研究機関、求人データ、対照実験などを優先しました。

米国と日本では雇用市場の構造が異なるため、単純には比較していません。

また、AIが書いたコードの業界全体の割合、AIだけによる純粋な雇用への影響、日本のJunior・Senior別の長期求人データなど、現在十分な情報がない部分もあります。

そのため、分からないことは「分からない」として扱っています。

SOURCES / VERIFIED 2026.08.12

主な出典

  1. U.S. Bureau of Labor StatisticsSoftware Developers, Quality Assurance Analysts, and Testers
  2. Federal Reserve BoardAI Adoption and Firms’ Job-Posting Behavior
  3. Indeed Hiring Lab / 2026.07.08AI and Job Postings: From Destruction to Creation?
  4. Indeed Hiring Lab / 2026.07.23The Labor Market Is Tilting Toward Seniority
  5. Stanford Digital Economy LabCanaries in the Coal Mine?(2026.08.12改訂版)
  6. GitHub Copilot controlled experimentThe Impact of AI on Developer Productivity
  7. Microsoft ResearchThree Field Experiments with Software Developers
  8. METREarly-2025 AI and Experienced Open-Source Developer Productivity
  9. Alphabet2025 Q4 Earnings Call
  10. IPADX動向2025
  11. job tag(厚生労働省職業情報提供サイト)ソフトウェア開発(職業分類:WEB・オープン系)
  12. DecryptEmad Mostaque発言の当時報道
  13. Matt Welsh / Communications of the ACM“The End of Programming,” Vol. 66, No. 1, 2023, pp. 34–35 / DOI: 10.1145/3570220
  14. NVIDIAJensen Huang / World Governments Summit

UPDATE LOG

更新履歴

2026.08.12
調査報告書に基づく初稿作成
2026.08.12
公開前の最終編集(重複削減、推論表現・出典表示の整理)
2026.08.16
初心者向けに記事構成・図解・データ表示を全面改訂。最新資料に合わせて一部データと出典を更新。